20世紀最大の発明といわれるレーザーの出現により,我々は光を能動的に操る事ができるようになりました.高強度短パルスレーザー技術の近年の飛躍的な発展により,極めて高い強度の光場を実現することが可能となりました.高強度であるがために非線形の現象を,極短パルスであるがために諸緩和過程よりも高速の遷移現象を誘起あるいは観測することが可能となります.さらなる超高強度では,その光場強度は原子内部の場よりも大きく,電子を相対論領域にまで加速するほどです.このような非線形から相対論領域の高強度光場と物質との相互作用には新しい物理の局面が潜在しています.この物理を明らかにすることにより,レーザー加工からレーザー放射線・核科学まで新しい応用が拓かれつつあります.フェムト秒レーザーによる原子・分子のソフトイオン化や固体のナノアブレーションなどはそれぞれ質量分析やナノ構造形成・組成改質などへの応用の可能性があります.レーザー生成プラズマ内部においても,高強光場による電子加速やそれに伴うイオン加速・電磁波発生は高エネルギー粒子・テラヘルツ波の発生を可能にします.高強度短パルスレーザー生成量子線はパルス・点源・高強度といった特徴を有し,従来の加速器に変わりうる次世代の新しい量子線源として期待されています.
 我々の研究室では高強度短パルスレーザー装置を独自に構築し,レーザー物質相互作用の物理とその様々な応用の研究を行っています.取り組んでおります研究は多くの分野と接点をもっています.レーザー科学,産業応用に関心をお持ちの方,レーザーを利用した新しい可能性を探っておられる方の共同研究,当研究室への見学を歓迎いたします.

 当研究室での研究・勉学に関心をおもちの大学生の皆さんも,ぜひ見学にお越し下さい。